新築一戸建ての購入を考え始め、物件を調べたり、その他必要な情報を調べていると必ず目にする言葉のひとつ。
「建築条件付き土地」。
この言葉ですが、よく目にする機会があってもその意味を正しく把握シてますでしょうか?
「建築条件付き土地」は、「建売住宅」とは少し意味が違いますし、一般的に販売されている土地とも異なり、購入後の利用や住宅建築に際して制限(条件)が発生します。
ただ、悪い部分だけではなくメリットも多数存在しており、金銭的なメリットも期待できます。
新築一戸建てを購入したいと考えている人が気になる「土地購入から建物完成までの流れ」を説明し、なおかつ解約や仲介手数料に関する内容も網羅しています。
条件が設けられているからこそ購入前に詳細確認をして、適切に検討する必要があります。
この記事では「建築条件付土地とは何なのか?」について詳しく見ていきます。
●「建築条件付き土地」は制限(条件)があるが、割安で購入できることも多い(しかし、トラブルも多い)
●土地を購入する際の条件として、建築業者が予め指定されている
●「建築条件付き土地」を購入後、一定期間以内に住宅建築契約を結ぶことになる(期間内に建設しないといけない)
●期間内の建築が不可な場合、「建築条件付き土地」は契約解除となる
それでは以下で詳しく見ていきましょう。
この記事の目次
1,建築条件付き土地とは?

まずはじめに、「建築条件付き土地とは?」について解説します。
(1)「建築条件付き土地」の意味について
前述したとおり、新築一戸建て住宅の建築を予定している際などに耳にすることの多い「建築条件付き土地」。
名前だけを見てみると少々ややこしい気もしますが、一体どのような土地のことなのでしょうか。
「建築条件付き土地」は、購入後の建築の際に利用する住宅建築会社があらかじめ決められているものです。
そして、決められた期間内にお家を建築しなければなりません。
一般的な土地の場合は、購入後に住宅建築をする際に、自分が好きな建築会社を選ぶことができます。
しかし、「建築条件付き土地」の場合は、業者選択に関しては制限が発生します。
ただし、デメリットばかりではなくメリットもありますので、そのあたりは本記事の別段落「5,建築条件付き土地のメリットについて」で詳しく解説していますので、ご覧ください。
(2)「建築条件付き」の条件の内容とは?
建築条件付きの条件は、「業者が指定されている」という点だけではなく、前述のとおり「〇年〇月までに建築契約しなくてはならない」といった条件も定められています。
この2つの条件が「建築条件付き土地」の売買の際の基本ポイントになっているので、購入前に具体的な条件内容の確認をしておきましょう。
この事を正しく理解せず購入してしまうと契約後のトラブルの原因となります。
(3)条件はどこが付けている?
この土地に関する条件は、一般的に土地の売主が定めています。
売主はケースによって異なるものの、通常は建築会社の不動産部やグループ会社の不動産企業となります。
あらかじめ売主側が建築条件を決めて売却しようとするので、土地購入にあたっては購入者側の意見は反映されることはないでしょう。
(4)建売との違いは?
建売住宅はすでに建築されて仕上がっている建物を購入するというものです。
それに対して「建築条件付き土地」を活用した一戸建て住宅の建築の場合は、設計面や材質、工法などを指定しやすくなります。(例外あり)
自分たち家族の意思反映を行いやすいというのが、「建築条件付き土地」を利用した住宅づくりの特徴です。
まとめると、以下のとおりです。
●建売住宅:出来上がっている住宅を購入
●建築条件付き土地:土地のみを購入してその後建築。建売住宅よりも意見反映しやすいが、一般的な住宅建築に比べると制限が大きい
となります。
2,「建築条件付き土地」の購入から建物完成までの流れ

次に、「建築条件付き土地を購入してから、住宅が完成するまでの具体的な流れ」について詳しく見ていきます。
業者によって多少違いが見られるかもしれませんが、大体の流れをしておけば不安を解消でき、新築一戸建ての建築に向けたスケジューリングも行いやすくなります。
(1)住宅や土地を探す
住宅や土地を探していると、「建築条件付き土地」に心惹かれることもあります。
(2)「建築条件付き土地」を実際に見学
立地条件や価格とのクオリティバランスなどもチェックします。
(3)購入するかどうかの検討
どのような条件が設定されているか、指定されている建築会社の評判チェックなどを行った上で購入するかどうかを決めます。
(4)契約を結ぶ
契約を結ぶ前には再び各種条件などを徹底的に確認しておきましょう。(「建築条件付き土地」はトラブルが多いので、不明点や不安点はすべてクリアにしておくことがポイントです)
必要に応じて専門業者に質問などをし、納得できる状態で契約を結んでください。
(5)設計、仕様などの打ち合わせ
購入者側と業者側とで打ち合わせに関する話し合いが持たれ、住宅の設計や仕様など、住宅建築にかかわる様々な話し合いが行われます。
(6)建築工事契約を結ぶ
上記の打ち合わせが終わり条件確認が終われば、契約を結びます。
(7)許可取得、工事開始
住宅建築を行うに当たって必要になる許可取得や設計図面の提示などが行われ、その後工事が開始されます。
(8)工事中の品質検査
問題なく工事が行われているかどうかに関する品質確認検査が行われます。
(9)住宅の完成
住宅が完成するとチェックを行い、その後問題がなければ引き渡しされます。
私が、現役営業マンの頃、もちろん「建築条件付き土地」を仲介したことがあります。その時に感じることがいつも共通して以下のような感想でした。
「完成後の新築戸建てのお家を見て、建売住宅とほとんどかわらない・・。」という感想が正直な感想です。
●建築業者が指定されている。
●建築期間が限られている。
この2つの条件はやはり大きな制限にもつながっていて、注文住宅のような自由度を想像されている方は、絶対にやめたいほうがよいです。
▶参考情報:「注文住宅」について詳しくは以下で解説していますので、参考にご覧下さい。
「建売住宅vs注文住宅」徹底比較!価格や入居までの期間など違いを解説
3,条件が折り合わず期間内の建築が不可な場合は「建築条件付き土地」は解約できるの?
続いて、「期間内の建築が不可な場合は建築条件付き土地は解約できるかどうか?」について確認しておきます。
「建築条件付き土地」はあらかじめ各種条件が設定されています。
しかし土地の購入後、住宅建築に関する条件が折り合わず、期間内に建築ができないケースも出てきます。(これがトラブルで多い要素のひとつ)
そういった際に土地の解約ができるかどうかは、購入者にとっては気になるところですよね。
住宅の建築請負契約の締結があらかじめ定められた期間内に行われなかった場合は、「建築条件付き土地」は売買契約自体が解除されます。
これは無条件での解除となり、例えば期間内に折り合いがつかないからといって、購入した「建築条件付き土地」が自分のものになるというわけではありません。
ただこの期間に関する問題は購入者と業者間でトラブルになりやすい部分でもあるので、購入手続きを行う前に各種確認などを行っておきましょう。
4,「建築条件付き土地」の仲介手数料は?
次は、気になる「建築条件付き土地の仲介手数料」について見ていきましょう。
不動産売買契約を行う際には、「仲介手数料」を仲介会社に支払う必要があります。
▶参考情報:不動産売買に関する仲介手数料について詳しくは以下をご覧ください。
それは「建築条件付き土地」も同様であり、法律において上限金額が定められています。
もちろん仲介業者を介さない場合は手数料は不要ですが、「建築条件付き土地」は一般的な不動産とは違い仲介手数料がかかるケースが圧倒的に多いです。
- ~200万円:取引金額の5%
- 200万1円~400万円:取引金額の4%
- 400万1円~:取引金額の3%
例えば、「建築条件付き土地」を購入した場合、当然不動産仲介会社には仲介手数料を支払う必要があります。
しかしその土地に住宅を建築する際には仲介手数料は必要ありません。
業者によってはダブルで請求してくるところもあるので要注意です。
5,建築条件付き土地のメリットについて
次に、「建築条件付き土地のメリット」について詳しく解説します。
新築で住宅を建てる土地を探している時に出会うことも多い「建築条件付き土地」ですが、これまでのお話では条件についてメインにお話してまいりました。
しかし「建築条件付き土地」のメリット面についてもふれておきたいと思います。
(1)一般的な土地に比べて安く買えることも多い
「建築条件付き土地」には、業者選択や建築に際して様々な制限があります。
だからこそ、一般的に販売されている条件付きではない土地に比べて割安価格で購入できることもあります。
(2)建売住宅とは違い間取りなどに自分の意見を反映させられる
建売住宅はすでに出来上がっていますが、「建築条件付き土地」であればある程度であれば間取りの希望や使用材質、内装などを決めることができます。(※ただし、通常の注文住宅のような自由度は想定しておかないほうがよいです)
(3)土地探しが容易になる
自分が希望している条件を満たす土地探しは意外と難しいです。
ですが、「建築条件付き土地」も対象とすると、一気に土地探しが容易になります。
(4)欠陥住宅を掴むリスクが減る
建売住宅はすでに建築されていて建築途中で発生した欠陥を知ることは難しいです。
しかし「建築条件付き土地」を購入して後から建てれば、定期的な検査を行うなどして欠陥を未然に防ぎやすくなります。
6,建築条件付き土地のデメリットについて
続いて、気になる「建築条件付き土地のデメリット」についても確認しておきましょう。
「建築条件付き土地」のデメリットは以下のとおりです。
高い買い物ですから、メリットも把握した上で購入するかどうかの検討をしましょう。
(1)完全に自由な設計が期待できない
注文住宅のような完全自由度を想像しているとNGです。
大幅な間取りの変更や特殊な設計などは不可能なケースも多いです。
これも業者によって異なるので土地購入前の確認が望ましいでしょう。
(2)期間が設けられている
「建築条件付き土地」の特徴は購入後一定期間内に住宅建築を行うという条件です。
通常は土地の売買契約から3ヶ月以内に住宅建築契約を結ぶことになるので、じっくりと検討したいという場合には不向きです。
(3)業者選択ができない
高い買い物になるので自分が希望する建築会社を利用したいと考える人も多いですが、「建築条件付き土地」の場合は建築会社が指定されているためそれができません。
ですから、「どの建築会社に依頼することになるのか?」を早い段階でチェックしてください。
7,「建築条件付き土地」を購入する際の注意点
最後に、「建築条件付き土地を購入する際の注意点」について詳しく解説します。
建築条件付き土地はうまく利用できればとてもお得なのですが、その詳細を知らずに購入してしまうとお金の無駄遣いになりかねません。
購入する前には様々ある注意点を知っておき、そのうえで購入するかどうかを決めてください。
注意点には下記のようなものがあります。
(1)標準仕様はどのような感じか
「建築条件付き土地」に住宅を建築する際には、標準仕様というものがあります。
「標準仕様がどのような内容になっているか?」を確認し、自分たちのライフスタイルに応じたものかどうかをチェックしましょう。
また、「どのくらいの変更を加えられるか?」も重要な注意ポイントになります。
(2)プランの種類はどれくらいあるのか
住宅建築に当たって建築業者はいくつかのプランを用意しています。
どんな内容の種類があり、いくつくらいあるのかも重要な部分です。
(3)建築業者の評判や実績はどうか
「建築条件付き土地」は自分で建築業者を選ぶことができないため、土地を購入する前の段階で利用することになる建築業者について把握しましょう。
そのうえで評判の善し悪しや、実績状況も出て確認してください。
これは、私の営業マン時代の経験からのお話ですが、「土地自体が素晴らしくても、建築業者が良くなければ自分たちが理想とする住宅は手に入りません」。
そのため、建築業者はしっかりとチェックをしておきましょう。
8,まとめ
「建築条件付き土地」は、住宅建築の際に利用する建築会社があらかじめ決められています。
また一定期間内に住宅建築契約を結ばなくてはなりません。
メリットもあればデメリットもあり、メリットには「割安価格で購入可能」「土地探しが容易になる」などがあります。
デメリットは「建築業者が指定されている」、「設計面の融通が利きにくい」、「期間が限られている」などがあります。
仲介手数料やその他注意点に関して把握しておけば、「建築条件付き土地」をお得に活用した住宅建築が可能になります。
記事作成日:2019年05月09日
記事作成者:希野 通貴