住宅ローンのことをいろいろ調べていると必ず出てくる言葉「団体信用生命保険(団信)」。
住宅ローンの審査の事ばかり調べてて、この「団体信用生命保険(団信)て何のことやら・・」という状態になっていないでしょうか?
(私が不動産営業マン時代の経験から、かなり多くの方が「団体信用生命保険てなんですか?」状態でした)
「団体信用生命保険(団信)」は、新築戸建てのお家やマンションを購入する際、住宅ローンを利用するのであれば必ず知っておかなければならないことです。
「団体信用生命保険(団信)」の重要性は非常に高く、借入を行う本人や家族に加え、融資をする金融機関にとっても大きな存在です。
しかしなかなかこの保険に親しむ機会がないので詳細を理解している人が少ないというわけです。
安心して借入れを行い返済を続けるためにも詳細をおさえ、なおかつライフプランに合っているかどうかの確認も必須です。
この記事では、「住宅ローンを組む時に入る団体信用生命保険(団信)とは?」についてわかりやすく解説していきたいと思います。
気になる保険料、銀行の住宅ローンとフラット35による住宅ローン団信の特徴についてもそれぞれ知っておいてください。
●「団体信用生命保険(団信)」は住宅ローンに関わる「生命保険」のこと
●「団体信用生命保険(団信)」将来の自分たちを守る重要な存在で、「死亡・高度障害状態」など状況によって返済免除になる
●種類は「中央労働銀行団体信用生命保険」をはじめ大きく4つに分類でき、各々加入の必要性や各種特徴が異なる
●銀行の住宅ローンでは、「団体信用生命保険(団信)」の加入が必須(=加入できないと融資してもらえない)
●加入条件が設けられており、年齢や健康状態が重視される
●「団体信用生命保険(団信)」へ加入できない場合でもフラット35などであれば借入れが可能
それでは以下で詳しく見ていきましょう。
この記事の目次
1,団体信用生命保険(団信)とは?
まず最初に「団体信用生命保険とは何か?」をわかりやすく解説しておきます。
これは名前の通り生命保険の一種で、「団信」と呼ばれることも多いです。
さらに簡単にいうと、「住宅ローン」に関する「生命保険」と思っておいて下さい。
住宅ローンを利用して銀行から融資を受ける際、融資してもらうお金は多額の費用になりますよね。
「数千万単位」からなるお金を融資してもらうのはよいですが、返済のことも考えなければなりません。
返済期間中に融資を受けている人(債務者)が、万が一の事故や病気で死亡したり高度障害状態になったら返済できなくなりますよね・・。
このような事態にそなえて、万が一「死亡・高度障害状態」の状況になったら、住宅ローンの残額が返済免除になるというのが、「住宅ローン」に関する「生命保険」です。
銀行の住宅ローンによる借入れを希望する際には「団体信用生命保険(団信)」への加入が基本的に義務づけられています。(※「フラット35の住宅ローン」は任意です。)
加入が義務づけられているのにはきちんとした理由があり、前述したとおり、借入れを行った本人が亡くなった場合や何らかの病気にかかった際にも返済で困ることのないように、という配慮からです。(=銀行側も多額のお金を融資するわけですから、このような債務者が住宅ローンの返済ができなくなり、回収ができないリスクを回避するためにも加入を義務付けています)
そして「団体信用生命保険(団信)」には、いくつかの種類があります。
前提としては、「死亡・高度障害状態」が基本保障でカバーされますが、それ以外にも保障の範囲や詳細はそれぞれ保険により異なっています。
実際に住宅購入や建築をする際には長年にわたって返済し続けなくてはならず、その中で、もしものことが生じるケースや重い疾病で悩むこともあるでしょう。
そういった際に支払い免除をはじめとした恩恵が受けられるのはとても助かるでしょう。
住宅購入に際して住宅ローンの借入れを行う人、さらに融資をする側の金融機関にとっても「団体信用生命保険(団信)」はなくてはならない存在であることを覚えておきましょう。
2,「団体信用生命保険(団信)」の種類と保障内容
次に、「団体信用生命保険(団信)の種類と保障内容」について詳しく見ていきます。
「団体信用生命保険(団信)」といっても一言で言い表すことができず、数多くの種類があります。
(1)「団体信用生命保険(団信)」の種類について
「団体信用生命保険(団信)」は、以下の通りに分類することができます。
- 中央労働銀行団体信用生命保険
- 機構団体信用生命保険
- 信用保証協会団体信用生命保険
- その他金融機関の団体信用生命保険
に分類するのが一般的です。
1,中央労働金庫 団体信用生命保険
「中央労働金庫」による「団体信用生命保険(団信)」で、協同組織で運営されている点が特徴になります。
中央労働金庫が提供する住宅ローンにて借りる際に必ず加入することになります。
この生命保険料の支払いは、住宅ローンの金利の中にすでに含まれているので、保険加入によりさらに金利が上がることはありません。
2,機構団体信用生命保険(住宅金融支援機構)
これは「フラット35」の住宅ローンサービスを活用する際に加入できる保険です。
日本全国の様々な金融機関との提携がなされているため加入に際して困ることはなく、現在も多数の人が加入しています。
ただ「フラット35」は、必ずしも団体信用生命保険に入る必要はありません。
▶参考情報:「フラット35」の住宅ローンについては以下で詳しく解説していますので、合わせてご覧下さい。
3,信用保証協会団体信用生命保険
「一般社団法人全国信用保証協会連合会」が提供しているものであり、加入するかどうかは自分で決められます。
ですので加入する際には、すでに定められている金利以外に保険料が必要になり年払いしていくことになります。
4,金融機関の団体信用生命保険
上記の組織の他にも多数の金融機関が住宅ローンサービスを提供し、その際には基本的に「団体信用生命保険(団信)」の加入が義務づけられています。
一般的には、銀行の住宅ローンを利用する方は、このパターンが多いと思います。
各金融機関によって保障内容や保険料といった点に違いが見られるため、あらかじめの確認が不可欠です。
(2)「団体信用生命保険(団信)」の保障内容について
団体信用生命保険(団信)の保障内容については、主には以下の通りです。
1,基本の保障
- 死亡保障
- 高度障害保障
基本保障になる「死亡保障」、「高度障害保障」は、団体信用生命保険に加入している場合、該当する事例が発生すれば、「住宅ローン」の残金をすべて保険会社が弁済することになります。
2,特約等でつけれる保障
- 三大疾病保障
- 七大疾病保障
など
上記は、金融機関ごとに異なってきます。
「三大疾病保障」、「七大疾病保障」についてもその内容に該当する事例が発生すると、残金全額の弁済がなされます。
これら以外の補償内容が用意されている保険も見受けられ、特に最近では以前はなかったような「保障サービス」や「オプション」が設けられていることもあります。
結局のところ自分のライフプランや年収などを考慮して、どの保障内容を選択するのがベストなのかを考えなくてはなりません。
3,「団体信用生命保険(団信)」の加入条件とは?
次に、気になる「団体信用生命保険(団信)の加入条件とは、どのようなものがあるのか?」を詳しくお話していきます。
「団体信用生命保険(団信)」は、誰もが審査なく入れるわけではありません。
加入に際して、以下の条件が設けられています。
- 健康状態
- 年齢
このあたりは、通常の生命保険とよく似ていますね。
(1)健康状態
健康状態の条件設定は各社異なります。
- 過去3ヶ月以内の治療や投薬がないか
- 一定年数以内に手術を受けていないか
- 各種機能障害や欠損などはないか
といったものが参考として挙げられます。
(2)年齢
年齢については、以下のとおりです。
- 申し込み時の年齢
- 保険加入期間
が重視されることが多くなっています。
そもそも住宅ローンを活用して借入れを行おうと思った場合、銀行などの金融機関の住宅ローンサービスは、「団体信用生命保険(団信)」の加入が義務づけられています。
そのため、上記をはじめとする「条件に合致するかどうか」が、住宅ローン選びのキーポイントになるでしょう。
(金利や審査基準だけに集中していると、思わぬところで借入ができないことになりますので、「団体信用生命保険(団信)」についても、同じくらいしっかり調べておくようにしなければなりません。)
4,支払うべき保険料は?
続いて、「団体信用生命保険(団信)」で支払う保険料について見ていきます。
新築戸建てやマンションなど、住宅を購入するに当たって多くの方が加入することになる「団体信用生命保険(団信)」ですが、月々支払うことになる保険料はいったいどれくらいになるのでしょうか?
(1)保険料はいくら?
保険料については、以下の条件などによって細かく変わってきます。
- 保障タイプ
- オプションの有無
- 返済期間
- 返済方法
- 借入金額
- 金利
など
例えば、「3,000万円」の借入の場合は、1年あたり平均すると「約10万円」です。
ただ年数が減るに従って当然支払うべき団信料は少なくなり、最終的には数千円程度に落ち着きます。
各種条件によってかなりの違いが見られるため、「団体信用生命保険(団信)」を提供している団体が用意しているサイトでシミュレーションを行うことが大切です。
あくまで上記の金額は一般例であり、それぞれの家庭によって希望する保障条件が違ってきます。
保障条件次第では年間の支払い金額をかなり抑えられるケースも見られ、1年目から最終年までのトータル保険料は3,000万円の借入の場合で「100万円から200万円程度」が一般的です。
5,「団体信用生命保険(団信)」に入れない!?おさえておくべき注意点!
次に、「団体信用生命保険に入れない方が抑えておくべきポイント」について詳しく解説していきます。
「団体信用生命保険に入りたいけれど入れない…」といことも現実的によくあります。
そんな時には暴走してしまい良からぬことをする人もいるのですが、気を付けなくてはなりません。
そこで、以下では「団体信用生命保険(団信)」に加入するためにおさえておくべき注意点をまとめておきますので、必ずチェックしておいてください。
(1)必要書類は、必ず正直に詳しく記入すること
加入したいがために告知義務違反をする人も見られますが、それが判明すると保険金が支払われないこともありますので注意しましょう。
絶対に、正直に記入するようにしましょう。
(2)加入しやすい「団体信用生命保険(団信)」を利用する
健康面等に不安がある方は、例えば、「ワイド団信」のように仮に持病があったとしても入りやすいサービスもあります。
健康面の理由上、「団体信用生命保険(団信)」に加入できなかった方のために、通常の団信よりも条件がゆるい商品を「ワイド団信」といいます。
「ワイド団信」では、「糖尿病、高血圧、うつ病などの精神疾患」などの持病があっても保険に加入できる場合があります。
但し、これにも条件があり、同じ持病でも、状況の内容によっては「保険に加入できる人」と「できない人」が出てきたりします。
「ワイド団信」については、各金融機関の住宅ローンのページでも詳しく紹介されてるので、予め確認しておくようにしましょう。
糖尿病をはじめとする疾病などでも加入できることがあり、金利の上乗せが行われるケースも見られますが魅力的な制度です。
(3)「住宅ローン」の融資を受ける人を変更する
すでに持病があったり、健康面に不安がある場合は、「住宅ローン」の融資を受ける人を変更するというのもケースによっては、最適な手段になります。
例えば、男性側に健康上の不安がある場合などには、女性側が住宅ローンを組んで「団体信用生命保険(団信)」に加入するということもできます。
ただ、主婦や不安定な雇用形態であれば、そもそも「住宅ローンの審査」に通りにくいこともあれば、融資金額が希望金額に届かなかったりすることもありますので、事前にあらゆることを想定したシミュレーションを行っておきましょう。
(4)「フラット35」を利用する
人気の「フラット35」はそもそも「団体信用生命保険(団信)」に必ず入る必要はありません。
▶参考情報:「フラット35」が何かわからない方は、以下をご覧下さい。
ですから「団信不加入=借入れNG」とはなりません。
以上のような点に注意をし、住宅ローンの借入れを進めていきましょう。
6,銀行住宅ローンとフラット35の「団体信用生命保険」の特徴と比較
次に、銀行住宅ローンとフラット35の団体信用生命保険のそれぞれの特徴を比較してみます。
(1)銀行の住宅ローンの「団体信用生命保険(団信)」の特徴
銀行による住宅ローンの「団体信用生命保険(団信)」は、ケースバイケース異なっていて、保険料が無料のものもあれば、金利上乗せ形式のものもあります。
さらに、補償内容も千差万別で、基本は「死亡保障・高度障害保障」ですが、精神障害などを除く疾病に対応しているもの、3大疾病に加え一部の疾病や状態が発生した場合のみのものなど、とても多彩なんです。
保険料の支払いも1年に1回支払うものから、毎月のローン返済時に加算されるケースもあるのが特徴です。
●各銀行ごとの「団体信用生命保険(団信)」情報の一覧
【都市銀行】
【信託銀行】
【ネット銀行】
【地方銀行】
(2)「フラット35」の「団体信用生命保険(団信)」の特徴
「フラット35」の「団体信用生命保険(団信)」は、銀行のものに比べると選べる幅が少ないでしょう。
しかし、2017年に大きな変貌を遂げ、この制度のおかげで保障内容が充実しました。
トータル的な必要コストも下がったので、魅力ある銀行住宅ローンの「団体信用生命保険(団信)」と遜色ない内容となっています。
銀行の住宅ローンは種類が多すぎるため「フラット35」の「団体信用生命保険(団信)」と直接比較することはできませんが、双方とも常に新しく生まれ変わっているので、情報収集と比較は欠かせません。
最終的には、住宅ローンの金利や審査内容をはじめ、団体信用生命保険(団信)を加えた条件で、住宅ローンに強い専門家に相談して最適なものをシミュレーションしてもらうことをおすすめします。
●「フラット35」取扱いの金融機関ごとの「団体信用生命保険(団信)」情報の一覧
7,「団体信用生命保険(団信)」でカバーできない時って、どんな時?
最後に、「団体信用生命保険(団信)」でカバーできないケースについて考えてみます。
一見すると「団体信用生命保険(団信)」は万能的な存在ですが、カバーできない問題も当然あります。
(1)「団体信用生命保険(団信)」の保障内容に該当しないとき
例えば、「疾病や怪我により長期的に働くことができない」場合にはカバーされず、通常はその後も継続してローンの返済が必要です。
ただ、保障内容次第では、異なるケースも見られる点には要注意です。
様々なリスクが想定されるので就業が不可能になった際のことを考え、専用の保険に加入しておくというのも重要です。
重い疾病でなくても住宅ローン返済が難しくなる事例はいくつでもあります。
「団体信用生命保険(団信)」に加入してるから一安心。とお話される方がいらっしゃいますが、それは間違いです。
前述したとおり、団信でカバーすることができない病気や怪我は多々あり、「疾病や怪我により長期的に働けない」に当てはまる場合は、「障害年金の受給」、企業に勤めている場合には「傷病手当ての受給」ができたときのシミュレーションや、その他一般の医療保険をはじめとする保険も検討しましょう。
8,まとめ
「団体信用生命保険(団信)」は住宅ローンを組む際に加入するケースが多いものであり、もしもの時にそれ以後のローン返済を免除してくれます。
ただし、補償内容はそれぞれ異なるので、「働けなくなったけれどカバーされない…」ということもありえます。
一般的に住宅ローンでの借入れをするためには加入が義務づけられているものの、一部「フラット35」などでは任意となっています。
種類や保障内容、加入に当たっての条件を把握するようにし、どの「団体信用生命保険(団信)」が理想か、専門家に相談して検討するようにしましょう。
この問題は、住宅ローンを利用した借入を行うのであれば必ずぶち当たるものなので、今現在だけでなく、将来的なことも考えた上で結論を出していかれることをおすすめします。
9,【関連情報】住宅ローンに関連するお役立ち情報
本記事では、「住宅ローンを組む時に入る団体信用生命保険(団信)とは?」についてわかりやすく解説いたしましたが、住宅ローンに関しては他にも知っておくべき重要な情報がたくさんあります。
こちらの段落では、そのような住宅ローンに関する知っておくべき重要な情報をまとめておきますので、合わせてご覧ください。
(1)住宅ローン関係のお役立ち情報
記事更新日:2020年01月20日
記事作成者:希野 通貴