住宅ローンを利用してマイホームを購入したいと考えている場合、必ず知っておくべき必要がある言葉のひとつに「抵当権」というワードがあります。
「抵当権とは?」どのような意味かご存知でしょうか?
初めてお家を購入される方は、ほとんど知らない方ばかりだと思います。
「具体的に抵当権とは何なのか?」、「どういった意味合いがあるのか?」を知り、返済後の抹消手続きについても理解しておく必要があります。
ここでは、「抵当権とは?」の説明を解説した上で、抹消手続き、抹消しないことによるデメリットなども合わせてご紹介しておきます。
●「抵当権」は住宅ローンを利用して住宅購入した際に金融機関が設定する担保物権のこと
●完済後には抹消手続きをすることになり、早めに行うべきであること
●抹消手続きが遅れると様々なデメリットがあり、後々面倒になる
●抹消手続きを司法書士に依頼すると1万円ほどかかり、総額は1万5千円ほど
それでは以下で詳しく見ていきましょう。
この記事の目次
1,「抵当権」とは?
まずはじめに、「抵当権とは何なのか?」について解説します。
ウィキペディアでは、以下のように「抵当権の概要」について書かれています。
抵当権の概要
民法は抵当権の内容について「抵当権者は、債務者又は第三者が占有を移転しないで債務の担保に供した不動産について、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する」と規定する(369条1項)。まず、債権者(抵当権者)は自己の債権を確保するため、抵当権設定者(通常は債務者。物上保証も参照)の不動産または権利(地上権及び永小作権)に抵当権を設定する。抵当権は非占有担保物権であるため、抵当権設定の合意のみにより設定できるが(176条)、不動産登記が第三者に対する対抗要件となり(177条)、かつ抵当権の実行には通常、登記事項証明書が必要なため(民事執行法181条1項3号)、ほとんどの場合登記される。
抵当権は同じ不動産について重ねて設定できる。その場合の各抵当権の優劣は設定された先後(登記されなければ対抗力がないため、実際には登記の順序)による(第373条)。その先後により1番抵当権、2番抵当権という具合に順位がつけられ、その順番に従って優先弁済を受けることになる。
抵当権の特徴は非占有型の担保物権である点であり、抵当権が設定されても抵当権設定者は抵当権が設定され担保となっている目的物を債権者に引き渡す(占有を移す)必要がない。抵当権としばしば対比されるのが同じ約定担保物権である質権であるが、質権の場合には目的物を債権者に引き渡さなければならない点が抵当権とは異なる(344条)。抵当権の場合には、抵当権設定者は引き続き担保の目的物を自由に使用・収益・処分することができるので、目的物の効率的利用が妨げられず、社会的に重要な役割を果たしている[1]。
債務者が債務不履行に陥った場合には、抵当権が実行されて不動産競売(担保不動産競売)に付され、抵当権者はその代金をもとに他の一般債権者に優先して弁済を受けることで、債権の回収を図ることができる。抵当権が実行され不動産競売により目的物が競落されるとその物に設定されていた抵当権はすべて消滅する(消除主義)。抵当権の実行方法には担保不動産競売のほか担保不動産収益執行などの方法もある。
引用:Wikipediaより
Wikipediaの解説・・・はっきりいって初めてお家を購入する方によっては、小難しいですよね・・。
以下で、要点だけ簡単にまとめておきますので、それだけ覚えていただくとよいと思います。
「抵当権」は、住宅ローンによる融資を受ける際にあらかじめ知っておくべきものです。
金融機関は借り手がきちんと返済するか分からないため、何らかの方法でリスクヘッジする必要があります。
そのリスクヘッジ方法として実践されているのが、「住宅ローンを活用して購入や建築した住宅を担保に取る」というものです。
具体的には、借り手が購入や建築した住宅に対して金融機関側が「抵当権」を設けます。
「抵当権」という言葉ですが、あんまり小難しいテキストを理解する必要はなく、上記の通りなんですが、
「住宅ローンを使ってお家を購入した際、住宅を(金融機関に)担保にされる」
ということです。
=「お家を担保にされるので、住宅ローンを融資してもらえる」と思っておいていただけたら大丈夫です!
この「抵当権」というのは民法でも定められていて、法律に則った方法です。
融資を受けた人は毎月決められた金額を返済する義務が生じますが、もしそれが滞ってしまうと、債務不履行という形になり「抵当権」を設定した金融機関が競売などの実力行使に出ます。
こういった制度があるからこそ住宅購入や建築の際にローンを利用しやすくなっていて、さらに貸す側の金融機関にとっても多くのメリットがあります。
2,抵当権抹消とは?
続いて、「抵当権抹消とはどういったことなのか?」について見ていきます。
上記のようにきちんと返済されるか分からないので、金融機関側は融資を受けた人が所有する住宅に対して「抵当権」を設定しています。
すべて返済した後は当然「抵当権」を設定する意味はなくなるのですが、実はこの「抵当権」は自動的に抹消されるわけではありません。
注意しておかないと、自分のマイホームにいつまでも「抵当権」が設定されている…という事態になりかねません。
(1)「抵当権」を抹消するには?
基本的には、自分で「抵当権」を管轄している法務局に出向き、抹消手続きを行います。
この申請は融資を受けた人だけではなく、金融機関側(抵当権者)とともに行う必要があります。
とは言っても一緒に法務局に出向き手続きをするのではなく、金融機関側から発行される委任状を用いて手続きを行います。
3,「抵当権」抹消しないとどうなる?(デメリット)
次に、「抵当権を抹消しないとどうなるのか?」について詳しくご説明します。
住宅ローンを完済した後は晴れやかな気分になりますが、「抵当権」の抹消手続きをしないと様々なデメリットが待ち受けることになります。
(1)抹消手続きが遅れると煩雑な手続きが増える
通常は完済されると住宅ローンを提供している金融機関側から抹消に必要な書類が送付されます。
その必要書類を使用して手続きを行うことになるのですが、それを怠ると書類の有効期限が切れてしまいます。
その後、抹消手続きをする際にはまた金融機関側に対して書類発行のお願いをしなくてはなりませんし、費用負担も発生します。
慣れていない手続きだからこそ悩むことがあるのですが、手間をかけない秘訣は、完済後すぐに法務局で抹消手続きを行うことです。
(2)所有者や金融機関に変更が発生すると手続きが大変になる
一般的には住宅ローンの返済中と、住宅所有者は同名の可能性が高く、抹消手続きに際して所有者自身の変更手続きは不要でしょう。
ですが抹消せずに放置し所有者が亡くなってしまった場合、相続人に権利が渡ります。
そうなると手続きの複雑さが増してしまい、無駄な労力をかけることになります。
また、金融機関は一般企業に比べて合併する頻度が高いです。
合併してしまうと「抵当権」の抹消に必要となる書類が変更になり、とてもややこしい思いをします。
以上のように、「抵当権」を抹消する手続きを放置していると、後々かなり面倒な思いをしなければなりません。
労力がかかるだけでなく、本来必要のない費用負担も発生するでしょう。
このように少々ややこしくなるケースもあることから、「抵当権」の抹消については、司法書士さんにお願いするのも有効な手段のひとつです。
一生に一度くらいの手続きであれば、無駄な労力を費やさず、専門家に依頼するのがベストな方法だと思います。
そのあたり、司法書士に依頼する方法等については、次の段落をご覧下さい。
4,「抵当権」抹消の方法と流れ
続いて、「抵当権を抹消する方法と流れ」について解説します。
(1)「抵当権」抹消の2つの方法
「抵当権」の抹消手続きをするためには、
- 自分で法務局に行き手続きをする
- 専門家に依頼する
の2種類があります。
専門家は一般的には司法書士に依頼することが多く、その際に支払う費用は「約1万円」です。
自分で手続きを行うと費用の節約ができますが、人生で初めて経験するという人ばかりなので多少戸惑うかもしれません。
(2)「抵当権」抹消を自分で行う際の流れ
「抵当権」の抹消手続きを自分で行う際の流れについて説明します。
1,手続きに必要な書類を準備(金融機関から送られてくる委任状など)
↓
2,登記申請書を作る
法務局の公式サイトに様式や記載例が掲載されており、テンプレートもある
↓
3,記入した申請書と必要書類を法務局に提出
直接行く時間がない場合は、郵送でも可能
↓
4,確認
その後、登記の変更が完了する日にきちんと変更されているかをチェックします。
もし完了していない場合は必要に応じて手続きをします。
5,「抵当権」抹消に必要な費用と期間
最後に、「抵当権を抹消するのに必要な費用と期間」について確認しておきます。
「抵当権」の抹消の際に必要になる費用が気になるという人も多いでしょう。
司法書士に依頼することも多いので、それを例に記載していきます。
まず必要になる費用は、「登録免許税」「調査費用」「謄本確認費用」「司法書士への支払い」です。
(1)登録免許税
これは登記の際に必要な税で、抵当権抹消だけでなく、様々な登記関連の手続きの際に必要です。
「抵当権」の抹消の場合は、一般的な登録免許税の計算方法とは少し違い、「登記する不動産の数×1,000円」となります。
住宅ローンを受けて土地と建物を購入し、その両方に「抵当権」が設定されていた場合は、合計2つ分(2,000円)の登録免許税がかかります。
(2)調査費用
「抵当権」抹消手続きの前に状況確認をすることもあります。
その際に調査費用が必要なケースも出てきます。
(3)謄本確認費用
「抵当権」抹消手続きをした後も無条件に安心はできません。
きちんと抹消が完了しているかを確認するケースも多く、その時には謄本の取得費用が必要です。
(4)司法書士への支払い
利用する司法書士によってばらつきがみられますが、一般的には1万円前後が相場です。
抹消手続きにかかる期間は、手続きを実行してから1週間程度ですが、それ以前に準備のために大体1週間程度必要です。
あわせて2週間程度かかりますが、状況によって変動します。
6,まとめ
住宅ローンを利用してマイホームを購入や建築した際には、「抵当権」が不動産に対して設定されます。
「抵当権」は金融機関にとってはリスクヘッジの意味合いがあり、完済がなされた後に抵当権の抹消手続きを行います。
抹消手続きは自分でもできますが、専門家の司法書士に依頼することも多く、相場は1万円前後です。
その他にも数千円程度の費用がかかりますが、手続き自体はそれほど難しくはありません。
「抵当権」の抹消手続きを行わないでいると、不動産の所有者が変更になった際や金融機関が合併などした際に、面倒な事態になりかねません。
できるだけ早く行うようにしましょう。
7,【関連情報】「抵当権」に関わる住宅ローンのお役立ち情報
今回の記事では、「抵当権とは?」について解説いたしました。「抵当権」については、住宅ローンを利用する方は必ず知っておく必要があります。
またあわせて、抵当権に関わる住宅ローンのお役立ち情報も以下でご紹介しておきますので、あわせてご覧下さい。
記事作成日:2019年07月01日
記事作成者:希野 通貴